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正常な噛み合わせとは
顎の関節の中で機能的にも形態的にも神経筋機構的にも問題が無く、下顎の関節頭が顎関節内で最上方位に位置し(かつては最後方位であった時代がある)、その位置でずれずにぎゅっと噛み締めることが出来、その位置から自由自在に前後左右に動かすことができる状態で、右に動かしたときには左の歯は当たらず、左に動かした時は右の歯は当たらず、前に動かした時には奥歯は当たらない噛み合わせが理想的な噛み合わせと言えるでしょう。
ご自分で下顎を右へ動かしているのに実際左に動いてしまったり、またその逆になってしまう場合には、どこかの歯が強く負担を受け歯の歯根膜という感覚器から誤信号が脳に送られ、脳から筋肉へ反対の司令が出ている状態で、動かそうとした方向と反対の歯に当たりがあると、そのようになりやすく、良い噛み合わせとは言えません。また、動かそうとしても全く動かない状態は、歯に横揺れの負担が増え、虫歯や歯周病、知覚過敏の原因となり、これも良い噛み合わせとは言えません。
上の歯が下の歯のちょっと外側に位置し噛み合うことで、下顎を動かす時に、上の歯が誘導路となることが出来ます。極端に覆い被さりすぎていたり、角度が急だったりすると顎の動きに支障が出てしまいます。
また、上の歯の並びは3つのアーチよりなり、水平的には馬蹄形または半円形に近いもので左右対称が望ましく、垂直的アーチは目の水平面を基準に左右対称に近い状態、また、前後的アーチは4番目から7番目の歯にかけて弓なりになっているのが正常な状態です。
歯の真ん中の位置はそろっていることが多いです。本来全身的な見方をする場合は唇の裏側の筋が上下合うことが望ましいです。
悪い噛み合わせとは
いくらきれいに歯が並んでいても顎の関節内での下顎の位置が悪かったり、それに伴いお口を開けた時や閉める時に顎がカキッと鳴ったりするのは、良い噛み合わせではありません。
一概に噛み合わせは、噛み合うことからきていて、歯だけに焦点を置いた場合には、上下の歯が綺麗に噛み合うことをいうのですが、全身と上手く噛み合うためには、骨格のバランスや姿勢などがとても大切なのです。
成長発育期に姿勢が悪かったり、左右極端に違うスポーツをされたり、頬杖をついたり、することによっても歯並びは崩れてしまいます。歯を良い状態に保つためには、身体の歪みや姿勢に注意することも大切です。それでもお口を開けたり閉めたりするときの軌道がまっすぐ開きまっすぐ閉じれば顎の位置は良い状態と言えると思います。その状態でしっかり噛め、自由自在に上下左右に動かせればよい噛み合わせと言えるでしょう。
歯並びなどの見た目が綺麗なことはとても大切ですが、それよりも顎に位置異常が無いことの方が実は重要なのです。