監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
自分の横顔を気にしたことはありますか?
整っている顔は横から見た時にもバランスがよくきれいに見えるといわれており、横顔の美しさを表す基準のひとつに「エステティックライン(Eライン)」があります。
このラインと唇の位置関係が理想的なものであれば美しい横顔になるとされています。
エステティックラインがどのようなものなのか、理想的なエステティックラインと唇との位置関係を手に入れるにはどうしたらいいのかを紹介します。
公開日:2024/04/08
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
目次
エステティックライン(Eライン)とは、1954年にロバート・リケッツという歯科医師が提唱した横顔の美しさを表す考え方です。
顔を横から見たときに、下顎の先であるオトガイ部と鼻先を線で結んだものがエステティックライン(Eライン)です。このとき、Eラインを基準にして唇が内側にあるか、外側にあるかで、横顔の見え方は変わってきます。
人は横から顔をみられることも多いため、横顔の美しさを示すEラインは基準のひとつとして注目されています。
参考:大阪大学歯学部付属病院
一般的に、日本人は唇がエステティックラインよりやや内側にある状態が美しい横顔であるといわれています。
日本人は欧米人と比べると鼻が低く、オトガイ部の突出度合いもそれほど強くありません。多くの日本人が欧米人の理想的な口元のバランスと異なります。
自分のエステティックラインは、定規や人差し指で簡単にチェックすることができます。定規または人差し指を鼻先と顎の先に当てれば、その定規や指がエステティックラインです。
そのときに、定規や指に唇が少し触れるまたはギリギリ触れない状態であれば、理想的なエステティックラインであるといえます。ただし、指や定規の厚みがあるため正確な測定は難しいです。
人はどのくらい他人の横顔を気にしているのでしょうか?
自分自身の横顔を気にしている人はそれほど多くないとされていますが、ほかの人の横顔を8割が気にしているといわれています。自分自身があまり気にならない部分を、他人は気にしているということです。
自分で自分の横顔を見ることはあまりないかもしれませんが、他人からみられていると思うと整えたいですよね。
参考:株式会社カネボウ化粧品
エステティックラインと唇の位置関係が崩れてバランスが悪く見える原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
出っ歯(上顎前突)は、上の前歯や上顎が前に出ている不正咬合です。
口元のコンプレックスでは代表的で、日本人に多く見られます。上唇がエステティックラインから飛び出しやすくなります。
通常、上の歯が下の歯を覆うようにして噛み合いますが、受け口は下の歯が上の歯より前に出ている状態です。特に下の前歯が上の前歯よりも出ている時に診断されます。下顎が過度に成長している、または上顎の成長が不十分な場合、下の前歯が傾斜している場合があります。
下顎が前に出ている受け口では、特に上唇がエステティックラインにまったく触れない(ラインまでの距離が遠い)状態になります。
口ゴボ(上下顎前突)は、唇が前方に突き出て見える状態のことです。口が閉じにくくなり、閉じようとすると鼻の下が長く見える場合もあります。歯並びが良くても、横顔が口ゴボになっているというケースも少なくありません。
この場合、唇がエステティックラインから飛び出します。
エステティックラインにお悩みの方が理想的な横顔を手に入れるにはどのような方法があるのでしょうか。
エステティックラインと唇の位置関係の崩れの原因が骨格にある場合、美容整形で整えることができます。鼻の高さや顎の大きさを調整できるヒアルロン酸注入、鼻筋を通すことができるGメッシュ、医療用シリコンを挿入して顎や鼻の形を整えられるプロテーゼなど、崩れている原因に応じて受ける治療が異なります。
歯並びが要因となっている場合は、歯列矯正によって整えられる可能性が高いです。
歯列矯正は、矯正装置を歯に取りつけて歯並びを整えていく歯科治療です。出っ歯や受け口といった不正咬合が改善されると、口元を含めた外見も良くなるでしょう。
矯正治療は、患者さんのニーズに合わせてさまざまな治療方法が用意されています。エステティックラインを整えるために考えられる3つの方法を見ていきましょう。
矯正治療のなかでも特にスタンダードな治療方法です。歯にブラケットという小さな装置を取りつけて、そこにワイヤーを通して力をかけていきます。
一般的なワイヤー矯正では金属製のものを使うので目立ちますが、近年は透明な矯正の装置が普及しており、比較的目立ちにくく矯正治療を受けることが可能です。治療期間は2年前後で、費用の相場は70~150万円ほどかかります。
2023年7月 株式会社メディカルネット調べ
マウスピース型の装置を口にはめて、歯を動かしていく治療方法です。透明なプラスチックで作られているので目立ちにくく、取り外しができるため歯磨きや食事がしやすいのが特徴です。
治療期間は2年前後、費用は70~100万円ほどが相場とされていますが、マウスピース矯正では対応できない症例もあります。
2023年7月 株式会社メディカルネット調べ
手術によって顎の骨を動かして噛み合わせを改善する治療方法です。骨格的な問題が大きく、矯正治療で歯を動かすだけで噛み合わせの改善が難しい場合に適応されます。
手術前に術前矯正を行い、手術、手術後の矯正治療や保定期間などの治療を含め、2~3年ほどかかります。顎変形症であると診断された場合は、公的医療保険が適用されることが特徴です。
公的医療保険が適用されれば矯正治療が3割負担で30万円ほど、顎の手術が30~35万円ほどとされています。そのほか費用がかかる場合があります。
2023年7月 株式会社メディカルネット調べ
※公的医療保険の費用は2023年7月時点
*上記の費用や期間については歯並びや噛み合わせの状態、使用される矯正器具、地域などにより大きく異なります。
エステティックラインは、鼻と顎の先に線を引くもので、唇との位置関係を測ることができます。横顔の美しさの基準のひとつで、定規や人差し指などを使えば手軽に確認できます。スマホで横顔を撮影してもらい、線を引いてみるとより正確に確認できるでしょう。
エステティックラインと唇とのバランスが悪くなる原因には、歯並びの悪さや顎の成長のアンバランスなどが挙げられます。矯正治療を受けることでエステティックラインと唇との位置関係が改善され、横顔が美しく見えるようになるかもしれません。横顔がきれいに見えるようになりたいと考えている方は矯正治療を行っている歯科医師に相談してみましょう。