監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
小児矯正で使用される取り外しのできる床矯正装置(しょうきょうせいそうち)を紹介します。床矯正装置は、乳歯と永久歯が生え変わる幼少期で一般的に使用されます。「矯正歯科ネットは矯正に関する情報を発信しているポータルサイトです。」
公開日:2019/10/01 更新日:2021/11/18
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
床矯正装置[しょうきょうせいそうち]のしくみ
床矯正[しょうきょうせい]は、取り外しのできる矯正装置の1つです。
床矯正は、口の裏側、床下粘膜部につけるプラスチック製の床部分(レジン床)と、表側の歯にかける金属線で作られた入れ歯のような構成の装置です。
レジン床に、バネやネジを埋め込むことで、歯を移動します。
乳歯、あるいは乳歯が永久歯に生え変わる混合歯列期の不正咬合の治療によく用いられ、永久歯列では補助的矯正装置や後戻りを防ぐ装置として用いられています。
床矯正はドイツで生まれた取り外しのできる装置による矯正です。なお、ワイヤーとブラケットを使用した固定式矯正装置のマルチブラケット法はアメリカで誕生しました。
適応症例、装着方法
床矯正は、抜歯をせずに、歯列弓や顎骨を広げて歯を並べるスペースを作り、歯列を整える矯正装置です。患者様の症状に応じて、作製されます。
叢生など、歯列の凸凹の矯正のための「アクティブプレート(写真1)」や、乳歯と永久歯への生え変わりの混合歯列期の過蓋咬合(上顎の歯が深く下顎の歯に噛み合わせている不正咬合)の治療に使用される「咬合挙上板(写真2)」などがあります。
床矯正装置は、可撤式のため、自分で取り外すことができますが、一日の 装着時間が短いと、なかなか効果がみられません。歯磨きや床矯正装置を洗浄するときなど、一時的に取り外すことは可能ですが、長時間(1日12時間以上)の装着が求められます。
アクティブプレートは、主に歯の凸凹などの叢生や矯正、1~2本内側に入っている歯を押し出して前歯の整列を目的に、小児矯正でとく使用されます。プラスチックの中に、歯を押し出す力を調整するネジがあります。
混合歯列期の過蓋咬合[かがいこうごう]の治療に使用されます。過蓋咬合によって低くなった噛み合わせのを高くしまするために用います。下顎前歯が接触する、お口の中の天井部分、口蓋床部を樹脂で平坦に高く盛り上げたレジンのプレートが特徴です。
臼歯を挺出させ、前歯を顎の骨に押し戻す圧下によって、咬合(上下の噛み合わせ)の高さを上げます。(咬合の挙上)。
また、咬合挙上板(バイトプレート)は、ホーレータイプのリテーナーと似ています。マルチブラケット装置などによる、矯正治療、動的治療終了後に、拳上された咬合を保つための保定装置(リテーナー)としても用いられます。(参考:保定用器材 リテーナーとは )
咬合斜面版は奥歯の噛み合わせを高くし、下の前歯を前方に傾斜することで前歯の噛み合わせを整える装置です。
リテーナーの中には、取り外しのできるマウスピースタイプのものがあります。
「ソフトリテーナ」、「インビジブルリテーナー」、「トゥースポジショナー」などともいわれています。
アクリル樹脂やラバー系の材料でできており、透明で目立ちにくいのが特徴。
制作・資料提供:株式会社 アソインターナショナル