目次
上下顎前突とは
上下の歯が前に突き出ている不正咬合
上下顎前突[じょうかがくぜんとつ]とは、上顎の歯と下顎の歯が前に出ている不正咬合です。
上下の歯が出ているため唇が閉じにくい人、口を閉じたときに唇の高さと鼻の高さが同じように口元が突出している人、歯並びはきれいでも横顔を見ると口元が出ている人などは上下顎前突の可能性があります。
症例写真
初診~治療開始
【口元の突出が気になって来院した患者様】
口元がが突出して、横顔や顎のラインが気になって来院された患者様の症例です。
患者様の口元を正面から撮影した写真をみると、デコボコはなく歯列がそろっています。
一見、歯並びだけを見ると問題がないように見えるかもしれませんが、上顎の歯列弓(写真右上)をよく見てみると少し前後の幅が長いと思いませんか?矯正医が口腔内を実際に見れば、患者様の下顎と上顎の歯列が長いことはよく分かります。
初診相談時の口腔内写真
実は、この患者様は過去に、歯を抜かずに矯正治療をした経験があります。当時、上下の前歯を前方に出して歯列を広げる方法でデコボコを並べる治療をしたようです。
そのため歯列の幅が上下左右に広くなり、口元が突出した歯並びになっていました。普段は口を閉じるのも大変な状態です。
初診相談後、患者様の希望と診断結果に基づき、歯を抜いて矯正することにしました。矯正装置は、周囲の人に気づかれにくい見えない矯正「裏側矯正(舌側矯正)」で治療しました。
治療後
治療前後の比較 (口蓋・舌側)
治療後の写真です。治療前と比較すると、外に広がっていた前歯が内側に入り、上顎の歯列の幅が狭まったのがよく分かります。
治療前後の比較 (正面・側方)
正面と横から撮影した写真の比較です。
どちらの写真も、治療前と比べて全体的に引き締まった口元をしているのが分かります。下顎お幅も狭まって、突き出ていた口元が後ろに下がったため唇が閉じやすくなりました。お顔はお見せできませんが、顎や横顔がとてもきれいなラインになりました。
これから矯正歯科治療を考えている方へ
歯を抜かないで治療をしたあとに、このような上下顎前突という症状になったというご相談を最近多く受けます。そして、再び矯正をやりなおす方のなかには、今度は歯を抜いた矯正を選択する方もいます。
歯を抜く歯をことは誰でも嫌なことです。しかし、症例によっては歯を抜いて治療したほうがメリットがあるケースもあります。これから矯正治療をはじめようと考えている方は、事前に治療後の口元の状態や、抜歯・非抜歯の選択による違いをよく担当医と相談・確認をして、ご自身が納得された方法を選択しましょう。