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八重歯(乱杭歯)の小児矯正
乳歯から永久歯にはえかわるには、十分なスペースが必要になります。乳歯列や混合歯列期(乳歯と永久歯が混じった時期)にガタガタがあったり八重歯がある場合、その程度にもよりますが一般的には、何もしないでそのまま永久歯にはえ変わった場合、約70%の方が永久歯の抜歯を伴う矯正へ以降してしまいます。
逆に小児期の時期に取り外し式装置を使用し、顎の成長を利用して永久歯のスペースを確保することにより、抜歯治療の可能性を大きく減らすことができます。
また、ガタガタや八重歯の状態のままですと、清掃性も悪く虫歯のリスクが高まります。特に永久歯は、はえたばかりは幼弱で虫歯になりやすい時期でもあります。小児期にガタガタをほどいてあげることは、将来的に永久歯のスペースを確保するだけでなく、間接的に虫歯のリスクも減らすことにもつながります。
小児期のガタガタの歯の場合、主に取り外し式のプレートタイプという簡単な装置を使用します。1週間に約0.2ミリほど顎を広げて永久歯のスペースを作ります。少しずつ緩徐に広げていくため、少し装置のきつさ等ありますが痛みなど気になりません。また、装置を裏側に装着し表から見えなくする方法もあります。
八重歯(乱杭歯)の変遷
一昔前までは、日本では、「八重歯」=「かわいい」などの認識がありましたが、八重歯は、海外とくに欧米では、ドラキュラの歯と言われマイナスイメージの歯並びとなっています。
近年、海外旅行はもちろん子供さんで海外に留学をされる方が多く、八重歯(乱杭歯)のまま留学したらホームステイ先で「どうして八重歯を治さなかったの?」と聞かれて日本に戻ってきてから慌てて矯正治療をした患者さんもいらっしゃいます。日本でも欧米化が進みまた歯科知識の向上もあり昔の「八重歯」=「かわいい」というイメージは、なくなりつつあるようです。
八重歯(乱杭歯)のデメリット
八重歯(乱杭歯)は上記デメリットもありますが、最大のデメリットは歯ブラシがしにくいために虫歯になりやすく、また歯周病のリスクが高まって早期に歯を失ってしまうリスクが高い噛み合わせであるということです。
よく患者さんから「年をとると歯は、みんな自然に無くなってしまう」ということをお聞きしますが、それは間違いです。お口のメンテナンスをしっかりしていれば、何才になってもご自分の歯でしっかり噛むことができます。痛くなって歯医者さんに行くのは、誰しも嫌なことです。それを防ぐには、日々の歯ブラシと定期的な歯科健診が必要になります。
一昔前の歯医者さんの考えでは、「痛いときに行く」でしたが、現在は「痛くならないように行く」という予防を含めた歯科健診的な考えが主流となっています。