監修医師
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
「歯医者さん選びのポイントは?」「カウンセリングで何を聞くの?」など、歯列矯正に興味はあるけど何から始めたら良いのかわからないという方も多いはず。ここでは歯医者さん選びを中心に、歯が動くスピードや通院の頻度についてご紹介しています。これから歯列矯正を始める方へ理解が深まる内容となっています。
公開日:2020/01/21 更新日:2021/11/18
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
目次
歯列矯正の理解と隠れたお口のトラブルについても知ることができるカウンセリング。
治療内容と健康への理解を一層深めることができるため、歯列矯正に少しでも興味があれば受けておいて損はありません。
治療費の安さや利便性だけでなく、先生との相性や安心面なども考慮して、納得のいく歯医者さんを選択しましょう。
歯列矯正の治療実績が豊富な先生に治療をお任せしたいとお考えの方は、歯列矯正専門クリニックを選んではいかがでしょうか。
歯列矯正専門クリニックには「認定医・専門医」が在籍していることが多いようです。
認定医・専門医とは歯列矯正に関する厳しい試験をクリアした歯科医師に与えられる資格のこと。
治療に精通しているからこそ実績も多く、技術面でも知識面でも安心できるでしょう。
また、ホームページには矯正医の経歴や症例数、所属している学会、症例写真、治療経過のブログなどが紹介されている場合があります。
自分の歯並びに似ている症例が紹介されているかも併せてチェックしてみましょう。
歯列矯正は健康保険(公的医療保険)が基本的に適用されません。
つまり、高額な治療費が必要になるということ。
「最終的に治療費はいくらになるのだろう。」と不安を抱えたまま治療を続けるよりも、予め治療費の総額が分っていると安心ですよね。
例えば「トータルフィー制度」を取り入れている医院では、装置代や調整料など治療に関する全ての料金が含まれており、料金形態が明確です。
制度を取り入れていない医院でも、カウンセリングの際には治療計画や大まかな治療期間、治療費の総額、追加料金の発生条件、支払い方法についても確認しておくと安心です。
患者さんの疑問や心配ごとに何でも答えてくれる、相談しやすい雰囲気の歯医者さんが良いでしょう。
なぜなら、歯列矯正の治療期間は平均して1~3年程度。歯医者さんと二人三脚で始める長期戦だからこそ、気持ちよく長くお付き合いできる環境が望ましいのではないでしょうか。
「この先生と相性が合わないな」と思ったら、治療技術の優れた先生であっても、やめた方が良いと思います。
先生の人柄や相性の良さも医院選びの大切なポイントのひとつです。
診療台や器具の衛生管理はもちろんのこと、受付や待合室の清掃まで行き届いているクリニックは通院していて気持ちがよいもの。清潔な院内環境は感染予防と安全への意識が高いといえるでしょう。
仕事帰りに立ち寄れる駅近の医院や休日に通院できるご近所の医院など、ライフスタイルに合わせて医院を選択するのも良いかもしれません。特に他県や遠方から通院する場合は、スケジュールの関係上どうしても予約日が限られてしまいがちです。診療日や診療時間を確認して「治療が終了するまでちゃんと通院できるか」など、実際に通院しているイメージを持つことも大切です。
カウンセリングでは歯列矯正に関する以下のことを聞いてみましょう。
・おおよその治療期間
・費用の目安
・歯を抜く可能性
・装置の種類
上記に挙げた項目以外にも、不安に思っていることがあれば遠慮なく相談してみましょう。
例えば、結婚や進学、留学、引っ越しを控えているなど、通院できる期間や期限が限られている場合もカウンセリング時に相談してください。
今後のスケジュールを踏まえ、おおよその治療計画を立ててくれるはずです。
また、カウンセリングでは歯並びのことだけでなく、患者さん本人が気づかない口周りのトラブルも教えてもらえることがあります。
例えば、「舌の癖が強くて前歯を押し出している」「顎の関節にトラブルがある」「上下の咬み合わせが左右にずれている」などがその一例です。
カウンセリング時は「なぜこのような歯並びになってしまったのか」その原因を探り、時には全身疾患や既往歴にも触れながら進めていくので「歯並びの改善のために受けたカウンセリングで何らかのトラブルが見つかった」という例は少なくありません。
詳しい診断は精密検査のあとになりますが、カウンセリングだけでもある程度診断できる場合もあります。歯並びのことだけでなく、お口や全身の健康を知るきっかけにもなるかもしれません。
歯列矯正で歯が動くのは「骨の代謝」と関係していることをご存知でしょうか。
骨は生涯にわたって古い骨を破壊し新しい骨を作っています。
この「骨代謝」によって私たちの体は骨の強度を保たれ、体が支えられているのです。
歯列矯正で歯が動くのは、この「骨代謝」を利用しているから。
装置を使って弱い力を加え続けることで徐々に歯が動いていくのです。
歯が動くスピードは1ヵ月に1ミリ程度。強い力を加えたからといって、早く動くわけではありません。
力をかけすぎれば逆効果。歯の周囲の血管が圧迫されて正常な代謝が行えなくなることで歯が動きづらくなってしまうばかりか、場合によっては歯根や周囲の骨に大きなダメージを与えてしまうこともあります。
歯の神経が死んだり、歯根が極端に短くなってしまうことも。だから歯列矯正は長期戦。少しずつしか歯を動かせないのです。
個人差はありますが、全体の歯並びがきれいに整い、良い噛み合わせになるまでの治療期間は平均して1年~3年程度。
子どもの方が骨代謝が一般的に早いため、歯も早く動きます。
逆に、高齢になるほど代謝が遅くなり、歯の動くスピードも遅くなります。
このように歯や周囲の組織に大きな負担をかけずに患者さんの持つ生体反応に合わせて治療していくので、どうしても時間がかかってしまうのです。
では、矯正治療の期間を短縮できる治療法はあるのでしょうか。
近年では歯が動くスピードを助けてくれる装置や治療法が開発され、以前よりも患者さんの身体的な負担がグッと軽減できるようになってきました。
では、以下にて歯の動きをアシストする2つの矯正システムをご紹介します。
セルフライゲーションシステムとは歯の表面に取り付ける「ブラケット」の一種です。
ワイヤーとブラケット(装置)の摩擦を軽減した構造により、歯に負担が掛かりにくい設計となっています。
個人差はありますが、従来の装置と比べて短期間(25%ほど治療期間が短縮)で治療を終了することが可能なうえ、歯に過度な力が掛かりにくく、痛みの軽減も期待できます。
インプラント矯正とはチタン製のネジを固定源として歯を動かす方法です。
「インプラントアンカー」または「アンカースクリュー」とも呼ばれています
。一時的に顎骨の表面に矯正用のインプラントを埋め入れて、固定された軸として歯を動かします。
インプラント矯正のポイントは「固定が動かない」こと。
インプラントを固定源として歯に強い力をかけることができるので、出っ歯や受け口などの歯の移動距離が大きいケースや笑った時に歯茎がかなり露出するガミースマイルの改善、場合によっては抜歯を回避して矯正治療を受けることも可能のようです。
以前と比べて効率的な歯の移動が可能になったため、治療期間の短縮に期待できます。
インプラント矯正について詳しくはこちら
▼【3D動画で解説】インプラント矯正なら治療期間を短くできる?
装置の種類によって通院頻度は異なりますが、一般的には3~4週間ごとに通院する必要があります。
歯は一定の力を継続してかけ続けることによって少しずつ動いていくもの。そのため、矯正器具を調整したあとは一定期間歯が動くのを待つ必要があるのです。
残念ながら頻繁に通院してもスピードアップは期待できないかもしれません。
通院時には矯正器具のゴムやワイヤーを交換したり、新しい器具を付け加えたり、衛生士さんから歯磨きのチェックを受けたり、各種検査を受けることもあります。
治療内容によっても通院頻度は異なるため、詳しい通院の頻度は担当の先生に聞いてみましょう。
ちなみに、歯列矯正が終わったあとの保定期間の通院サイクルは3ヵ月~半年に1回程度。治療期間よりも長めに設定されています。
「歯列矯正の相談をしたい」と思ったら、まずはカウンセリングの予約をしましょう。
事前予約なしで受け付けてくれる医院もありますが、多くの歯科医院では予約制を取り入れており、飛び込み(予約なし)では受け付けてもらえないこともあります。
特に夕方の時間帯や土日は予約が込み合うことが予測されるため、いくつか候補日があると調整しやすいでしょう。
歯列矯正を検討されている方の中には「まずは話を聞いてみたい」という方や「深刻に悩んでいるので今すぐ治療を始めたい」という方など、治療へのモチベーションに温度差があると思います。
歯列矯正は歯並びが気になった時がタイミング。実際に治療するかどうかは別として、「歯並びやお口周囲の健康について詳しく知る機会」と捉えると良いかもしれません。
無料カウンセリングを実施していることも多いので、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。